航空学生・航空大学校受験生必見 パイロットに向いている性格って?

2020年10月18日メンタルトレーニング,航空パイロット,免許取得

このブログの読者さんの中には一定数パイロットを目指している方がいるみたいですね。

今回は、パイロットになるための試験を受けようと思っている人のために、パイロットに向いている性格に関して解説しようと思います。

なんで性格が関係してるの?

パイロットの試験について調べている方はご存知かもしれませんが、パイロットコースの試験(航空学生や航空大学校)では、最終試験近くで心理面接が設定されています。

というのも、パイロットの仕事においては心理的な特性や性格というものがわりと重要視されてます。

簡単に言ってしまえば、短気な人だと操縦放り出したりするのではないか?とか、落ち込みやすい人だと操縦中別の事で落ち込んで危ないのではないか?みたいな要素を排除しています。

採用側としては、高いコストをかけてパイロットを育成しなければならないため、使える尺度はすべて使って試験するというスタンスです。

性格を見るのはこの一環です。

当然試験として行っているので模範解答も存在してはいますが、「コイツ模範解答してるだけだな」と思われてもダメなので、どのような性質が求められるのか解説していきます。

飛行適性心理試験っていつからやってるの?

航空機の操縦に関する心理学の研究は第一次世界大戦で活発化したようです。

軍医が中心となり、身体検査と併せて心理適性検査を研究していたとのことです。

これらの記録は現在残っていないそうですが、二次大戦中は骨相学まで導入され、様々な方向から精神・心理的な適性を検査しようとしていたようです。

未だにパイロット間で骨相を重視する流れが存在しているのはこのあたりも関係しているかもしれません。

ちなみに現代に骨相学は残っていません。一種の占いだと思ってください。

夜間飛行 (新潮文庫)
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夜間飛行という小説です。星の王子様で有名なサンテグジュペリは自身もパイロットでした。彼の骨相をよく見ておくといいかも(適当)

夜間飛行の小説内では、命がけで飛行する者の心情がよく描かれています。

要求される特性・性格

航空心理学的に要求されている特性、性格はおおむね以下の通りです。

  • すばやい判断ができる
  • 性格にムラ気や偏りがない
  • 情緒が安定している
  • 自己抑制力がある
  • 単調作業に対する忍耐力
  • 相手の心理状態が推測できる

心理面以外にも様々な特性が求められていますが、性格や心理に関連する要求事項は上のリストの通りです。

なぜこれらの特性が求められるのか解説しておきます。

すばやい判断ができる

これは多くの人がわかると思いますが、航空機はかなりの速度で移動しています。

一瞬判断が遅れただけでも航空機は移動し続けるため、判断が遅い人は高速機に乗れないと言えます。

性格にムラや偏りがない

感情の起伏が激しいと、それだけで多くのストレスをかかえる事になります。

特に飛行業務はそれ自体が大きなストレスになります。そのような環境下で、性格に起因するストレスがあるのは好ましくありません。

情緒が安定している

航空機の非常事態に対しても冷静に対処できる必要があります。

ここは勘違いしている人が多いポイントかもしれませんが、航空機の事故の統計を見て航空機が安全な乗り物だと思っている人は多いでしょう。

もちろん旅客として乗る分には安全であるべきですし、実際数値も危険ではないと示しています。

しかし運用者、操縦者の観点では決して飛行機は安全な乗り物ではありません。

操作ミス一つで墜落までありうる乗り物という事は飛行機を飛ばしていればわかるようになります。

そして、非常事態というのも決して他人事ではありません。

むしろ、自動操縦が発達した現代の航空機ではパイロットの任務は非常事態の対処にシフトしているといっても過言ではないレベルです。

非常事態で落ち着いて対処できる情緒の安定性があるかどうかはパイロットとしての資質に大きく影響しています。

危険な乗り物を扱う以上、情緒の安定性はかなり重視されているように感じます。

自己抑制力が高い

これも非常事態対処に関連しています。

落ち着いて事故を制御できるというのは重要な能力ですし、そのような性格の方が適性があると考えられますね。

当然ですが、規範を無視した飛行を望むような人は抑制力以前の問題なのでダメです。

忍耐力がある

計器飛行などは、慣れてくると正直眠くなるような作業になります。

しかし、このような単調な状況に耐えられる忍耐力、集中力のようなものも心理適性検査で見ているようです。

これはクレペリン検査などでも計測されます。

すぐ飽きるタイプではフライトに適応できないという事になります。大空を自由に飛んでいるように見えて、けっこう細かくて地味な操縦が求められている部分もあるのです。

相手の心理状態が推測できる

航空機の運用はどんな飛行機であっても一人ではできません。

たとえ一人乗りの航空機でも管制とやりとりしますし、大きな飛行機は操縦席に二人で座っていたりします。

そのような環境下で仕事をするので、人とのコミュニケーションは重視されています。

オサレポエムとかで「空は孤独だ…」みたいなカッコつけてるやつとかありますが、本当に孤独な生き方をしてきた人だとコミュニケーション能力の面で試験通れないと思います。

あと、単純に同僚として嫌な奴とかは通さない傾向があるという噂もあります。人にやさしくしましょう。

どうやって心理適性を見るの?

心理面接とともに、性格診断などが用いられています。

たぶんYG式性格診断などはどこかでやったことのある人が多いと思います。

これらを総合して心理適性を見ているようです。

実際には心理適性だけでなく、実際の適性や身体検査、学力を見る試験などの結果と総合して判断されるので、心理適性対策をするより先にやる事があると思います。

あえて対策するとすれば規則正しい生活を送って友達としゃべったり親孝行したりしてください。

YG式性格診断の話

多くの組織でYG式性格診断が利用されており、インターネットでも気軽に試す事ができます。

当然ですが多くのデータが取られている関係上パイロットに多くみられる結果というのが存在しています。

YG式ではパーソナリティ特徴が調べられ、12項目の特性が示されます。

で、それらの関係性からA型~E型に分けられます(おおざっぱな検査での話です。)

これ以外にもYG式を極めた人が見ると嘘をついている事がわかったり家族構成が分かったりするそうですが今回は割愛します。

パイロットに向いているもしくはパイロットに多く見られるパーソナリティは

D型(安定積極型)という型のようです。

これはリーダー的な立ち位置をとり、情緒が安定している事を示しているとされる一方で、自分を良く見せようと偽る傾向に近い形が出ているらしく、専門家が見ると嘘を答えたことがすぐわかるようです。

また、C型(定適応消極型)も多いようです。

こちらは情緒は安定している一方、人前で発言しづらいタイプの人といえます。

持続力があり、根気に長けている点が評価されるようです。

ただし、これらはあくまで傾向の話です。

パイロット間では嘘を言う人を最も嫌う風習があるので、YG式で嘘をついて自分を良く見せようとするのはやめた方がいいと思います。

D型C型の話は参考までにどうぞ

意欲の話、志望動機とか

当然ですがパイロットになりたいという強い意欲のない人は採用しません。

というのも、過去の統計上意欲とパイロットとしての資格取得率の関係がすでに研究されていて、意欲のない学生の能力の向上はかなり遅い事が知られているからです。

この意欲というのはおそらく面接で聞かれると思います。

うまく答えられない人もいるかもしれませんが、そこは気にしなくていいです。過去のデータでもパイロットになりたいという意欲や願望の理由を言語化できるかどうかは成績に関係無いとして出ています。

ただし、これは心理面だけの話で通常面接でどのような印象を与えるかは別の話です。

うまく説明できた方が通常面接では当然有利でしょう。

この「パイロットになろうと思ったきっかけ」というものの中味に関しても研究が出ています。

意欲というのは内的・外的の二つに分類できます。

内的欲求というのは、大空を自由に飛びたいであったりとか、自己実現的な物があたります。

一方外的なものはモテそうとか、社会的ステータスといった物になります。

これらのうち、外的な意欲、つまりモテたいであったり社会的に認められるからという意欲を持っていた学生は、途中で訓練がきつくなった時に内的欲求に基づいた学生に比べて忍耐力が低いというデータがあります。

第三者を通してのフライト欲求だけよりも、本人の中で飛ぶことに対する意志がある方が望ましいです。

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カラスくんの話

参考程度に僕のパーソナリティや心理的な部分に関して少し書いておきます。

これでも試験通っているのですが、同じパーソナリティだからといって必ずしも通るわけではない事に注意して参考にしてみてください。

性格とか特質とか

すばやい判断ができる

→卓球部だったので反射神経は人よりちょっと良かったと思います。

性格にムラ気や偏りがない

→性格は先鋭化している気がしますね?ただし、人にキレたりとかは一切無いタイプなのでムラは少ないと思います。

情緒が安定している

→上でも書きましたがキレたりはしないです。

自己抑制力がある

→これはどうでしょう。自分では飛行機を操縦していて”あがる”事があるので直したいと思っています。

単調作業に対する忍耐力

→ジグソーパズルとか好きですね。黙々と作業するのは好きです。

相手の心理状態が推測できる

→これは怪しいですね。人の気持ちがわからない事ばかりです。でも、わからないという前提で動くようにはしています。

YG式の結果

一応D型(安定積極)が出ています。

でも正直自分を良く見せようとする傾向があると思います。

パイロットになろうと思った理由

これは面接用ではないのですが、たぶん僕はあらゆる乗り物に乗りたいタイプですね。

あらゆる機械を自分の意のままに操りたいという欲求が生まれたときからあるんだと思います。。

そういう部分を面接用にオブラートに包んで志望動機として話しました。

まとめ

パイロット向きの性格というのは存在しているよ

それらは性格診断と面接で調べているよ

でも嘘をついたら一発アウトだよ

飛行とこころ―航空心理学入門
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