追尾機動 の種類と特徴について

2020年9月28日空戦技術,航空Aerial Attack Study,DCS,エネルギー機動理論,飛行機

追尾機動 の種類

追尾機動 にはいくつかの種類があります。

対爆撃機戦闘のような非空戦機動の敵機に対しては以下の四つがあります。

  • ハイサイドアタック
  • オーバーヘッドアタック
  • アンダーサイドアタック
  • ノーズクオーターアタック

今回はこれらについて解説します。

ハイサイドアタック

同高度もしくは上象限への追尾がハイサイドアタックです。

この機動の特徴は旋回に必要なGに地球からのGを考慮して足す必要があるということです。

[合計G]^2=[旋回面内側へのG]^2+1

となります。

これを見ればわかるように旋回面方向へのGより少し多いGが合計としてかかるため、航空機の制限を超える可能性が高まることを示しています。

また、同じGで回っているとしても機動によって旋回方向へのGが弱まる事がわかると思います。

機動の特徴

この機動は、下から上を狙うため、IRセンサーが太陽光などに邪魔されてしまいます。

オーバーヘッドアタックよりすこしマシな程度です。

オーバーヘッドアタック

オーバーヘッドアタックはハイサイドアタックと対になる機動です。

いわゆるループになります。

機動の特徴として速度とGの維持が簡単である点があげられます。これは重力方向に旋回していく事になるため高度エネルギーを利用しやすいこと、また次に示す式からもわかる通り旋回方向に掛けられるGが高くなるためです。

オーバーヘッドアタックにおけるGは以下の通りとなります。

[合計G]=[旋回面内側へのG]+cos[ピッチ角]

ここから分かる通り背面状態ではcos180=-1、水平飛行はcos0=1より背面時に旋回内側へ向けて掛ける事ができるGが+2ほど上がっている事がわかると思います。

例えば4Gを維持して縦方向のループを行ったとすると、最下点では旋回方向に向けて使えるGは3Gですがループの頂上では旋回方向に向けて5Gまで使う事ができます。

このようにその時の状態によって旋回に使えるGが変化します。

縦機動の不利点

機動自体は有利ですが縦に旋回する関係で太陽をミサイルの目が拾ってしまう事があります。また、雲や地形の影響も他の旋回に比べて受けやすいと言えます。

また、その時のピッチによっては(背面となっていない間は)旋回方向へのGが少なくなり不利になる事が挙げられます。

アンダーサイドアタック

下象限への追尾機動です。

旋回に使えるGが多くなることが利点です。

旧世代機では、空気抵抗が増加することによって思ったほどGがかけれず、旋回が弱くなることがあったようですが、低抗力ハイパワー機では問題ないようです。

機動の特徴

この機動は上から下を狙うため、赤外線センサーの精度を高めます。よって攻撃はより長距離で行なえます。

また、旋回に使えるGもほかの機動より大きいため、より高機動で接敵できます。

また、ミサイルも高度を稼ぐ必要が無い分遠くまで届きます。

攻撃に一番適している機動と言えます。

ノーズクオーターアタック

ノーズクオーターポジションはミサイルを撃つにもガンを撃つにも難しい位置ですので無視します。

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