虐殺器官読み終わりました。

2018年8月18日レビュー小説

カラス会会員から送られてきた虐殺器官という小説を読みました。
久々に面白いSFを読んだ気がします。最もハードSFとも違った感じではある気がしますが…

簡単に書評しておくと主人公クラヴィス・シェパードの心理描写を重点的に行い、科学技術の説明文などのヘリクツが少なくSF特有のオタク臭さが無い点がドロドロとしたストーリーを軽く仕立て上げていると感じられました。
それでいて最近の小説にありがちなとにかく軽いだけのスカスカした内容ではなくイヤミな感じもありませんでした。

エンターテイメントとしての側面、戦闘描写などに目が行ってしまう人が多いとの事ですが見所はそこではないような気がしました。

読み終わった後ネットで書評を見てみたのですがまともに読んでいない人が書いたような文章が多く、特に設定の不透明さに関する批判が多いようでした。
どうもオタクウケするSFという分野の為か全てに関して詳細な設定を公開すべきと考えている人がいるようですね。

特に虐殺文法に関しての批判はかなり多い様子ですがその詳細設定が存在したところで物語には全く影響が無いという事を気にしなかったのでしょうか。
詳細設定が無いのは他のテクノロジーに関しても同じなのですが物語の核心にあるというだけで不要な詳細設定を求める必要は無い気がします。
どのような物なのかの説明は物語の流れで為されますし。

また心理が理解できないなどという意見も気になりました。
この小説、心理描写中心と言っても良いレベルでの書き込みなのに理解できないというのはオタクにありがちな他人の考えを理解できない事の延長ではないかと思います。

絵画、音楽、小説は楽しみ方を勉強してある人でないと楽しめないものであるというのが僕の考えなのでこのように明らかに的外れな事を言う人は義務教育中にこの手の勉強をサボってきたのでしょうか。

この手の中身の無い批判がされるというのは仕方の無い事だと思いますし何もかも設定が無いと読めない病気の人などももしかしたら存在しているかもしれません。
しかしそういう人でなければ暇つぶしに読んでみてもいいのではないかと思います。

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