輸入できないギターパーツとその根拠
ギター自作をする時って海外からパーツ取り寄せる事多いと思います。
で、ギターパーツ、特にネック関連は輸入制限が掛かってる物が色々あるので根拠となる規則を添えてメモしておきます。
ブラジリアンローズウッド
輸入制限の根拠はワシントン条約(CITES)
ハカランダと呼ばれてる木材で、指板として使われてたりします。
学名はDalbergia nigra
ワシントン条約 附属書Ⅰに記載されており、商業目的での取引が禁止されています。
輸出国と日本の両方で輸出入の許可を取り付ければギター部品として購入できそうです。
日本では外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づいて申請するようです。
担当は経産省
貿易経済安全保障局 貿易管理部 野生動植物貿易審査室 (2024年8月時点の名称)
あたりと調整することになりそうです。
他のローズウッドについて
他のローズウッド(マメ科ツルサイカチ属全般)もワシントン条約 附属書Ⅱに入ってるのでそのままだと手続きが必要です。
しかし、ブラジリアンローズウッド以外のローズウッドは、完成した楽器、楽器の部品及び付属品について条約の適用除外となっています。
根拠は附属書改訂(令和元年11月26日)
ただし、インボイス等にブラジリアンローズウッドではない事を記載する必要があります。(令和元年10月29日 ワシントン条約附属書改訂に伴う我が国の輸出手続きについて)
完成した楽器の部品とは、
完成した楽器の部品 楽器の部品(WCO(世界税関機構)の関税番号第92類に規定する楽器、その部分品及び付属品)は、楽器へ取付けることができ、明確に楽器に付随して使用するために特別に設計され、形成されており、演奏を可能とするもの。
とされてるので、warmothやmusikraftで普通にネックとしてオーダーした物は大丈夫そうです。
木材としての輸入はまた別の規制があるので知りません。
メキシコマホガニー
根拠 ワシントン条約 附属書Ⅱ
一部でメキシコマホガニー(Swietenia humilis)は禁輸って書いてる人いるのですが、附属書ⅡなのでCITESの書類揃えて手続きすれば輸入できるのではないかと思います。
楽器特例とか製品~とかの適用除外も無いので、楽器状態だろうが何だろうが手続き無しで持ち込むと止められるようです。
他のマホガニーについて
他のマホガニー(Swietenia macrophylla オオバマホガニー、Swietenia mahagoni マホガニー)も附属書Ⅱに記載がありますが、注釈によると製品として完成されている物は対象外になっています。
#5(マホガニー) 丸太、製材品及び薄板(※製品として完成されているものは対象外)
#6(オオバマホガニー) 丸太、製材品、薄板及び合板(※製品として完成されているものは対象外)
この製品として「完成されているもの」の定義について明確な記載がありません。
Stewmacなどでギター用木材として加工されてない状態で買うとダメかも…
Mother of pearl(真珠母貝)
綺麗なインレイやポジションマーク、サイドドットとかのオプションで選べるMother of pearl(真珠母貝)がダメなようです。
こちらも根拠はワシントン条約
附属書Ⅱに記載があるシャコガイ全科が該当するようです。
日本では真珠といえばアコヤ貝でそっちは輸入制限とか関係ないです。
外国のMother of pearlは原材料としてオオシャコガイをはじめとしたシャコガイが使われてるようです。
こちらは附属書2なので書類通せば輸入可能です。
しかしローズウッドのような適用除外が無いので、手続き無しで知らずにやってしまうとダメ
シャコガイ使ってない事が明記された書類が取れれば特に問題は無さそうですが…
アバロン貝
根拠 ESA(絶滅危惧種保護法)(米国連邦法)
abaloneはパウア貝とかメキシコ貝とか呼ばれてる黒~緑のかっこいい貝です。
アワビとかの一種で、これも税関で止まるタイプらしいです。ただ、米国の法律なので止まるタイミングはアメリカ出国時かも
細部はちょっと探しきれなかったのですが、ESAによって白アワビ(abalone)が絶滅危惧種指定されており、米国外への輸出に制限が掛かっています。
ワシントン条約と違い米国内の法律になので日本語情報は少ないです。
USFWSに基づく申請をすれば一応購入は可能なようです。
象牙・マンモス牙
根拠 ワシントン条約 附属書Ⅰ
古っっっるいギターでナットを一度も交換してなかったりすると紛れてるかも…
新しくギター作る人は輸入したりしないと思います…
そもそも、ハカランダとかと違って象牙ナットを褒めてる人あまり見かけないですね。音響的な利点が無いのかも
べっ甲
ワシントン条約 附属書Ⅰ
タイマイと呼ばれる亀の甲羅
日本国内で養殖とかしてるらしいので、国内品を使おう
輸入手続きについて
経産省が初心者向けの輸出手続きのチャートがありました(令和6年8月現在。リンク消えてたらゴメン)
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/im_flowchart.html はじめて輸入される方へ
これによると、附属書に記載されているものは輸出国のCITES輸出許可証が必要になります。
附属書Ⅰ
輸出許可証の他、外為法に基づく手続きを行って輸入承認を取得する必要があります。
必要書類の様式はこの辺(官公庁なのでアドレス変わってるかも)
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_im.html
附属書Ⅱ
通関時確認のみ
通関時に輸出国のCITES許可証があればOK
海賊品
根拠 関税法69条11
国内でも自作ギターにブランドのシール貼っちゃうマンいますが、そんなん輸出入したら捕まります。
どこの国とかどこのサイトとは言いませんが、変な部品を買うのはやめよう
フェンダーライセンスを持ってない工房にフェンダーそっくりヘッドシェイプを注文するとこれに引っかかります。
その他…
外国行ったついでに高額な部品や楽器買ったり、逆に日本から持って行って税関に没収される事があるようです。
文化庁から注意喚起が出てます。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokusaibunka/gakki_zeikankensa.html 楽器等の携行に関する税関検査に係る注意喚起について
気を付けよう。
お役立ちリンク集
経産省 ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_im.html
経産省 はじめて輸入される方へ
acoustic music organization アメリカのCITESとESAが関係しそうなアコギの部品についての記事です。
https://acousticmusic.org/research/environment-government/cites-and-esa
The essential guide to the U.S trade in 宝石商のためのPDFのハンドブックです。
アバロン貝の項目がある他、USFWS手続きについても解説しています。
https://jvclegal.org/wp-content/uploads/2019/02/38caab_f8e39a26b30b41f886c60fb91f0cd233.pdf
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