管制から出る 離陸許可 のまとめ

2019年2月17日航空,航空法CAB学科,DCS,航空法,飛行機

飛行機は飛行場から離陸するときに必ず 離陸許可 を得なければなりません。

離陸の許可は決まった形式で発出されます。今回は離陸の許可についてまとめます。

離陸許可が出る条件

離陸許可は以下の条件がそろったときに発出されます。

  • 出発機が離陸滑走路に近づいた
  • 関係先行機(後述)から必要な間隔がとれる

出発機が離陸滑走路から遠く、すぐに離陸できる状況にないときは許可が下りません。

また、関係機との完成感覚が設定できるまでやはり許可はおりません。

離陸許可の発出形式

離陸許可自体は毎回決まった形式で発出されます。

離陸許可に必要な情報は以下の通りです。

  • 風向風速
  • 使用滑走路番号
  • 離陸許可

これらはテイクオフのクリアランスを出す上で必ず含まれる情報です。

離陸許可例

JA-0000 wind 270 at 10 runway 28 cleared for takeoff

上記の例はコールサインJA-0000に向けて出された離陸許可です。

最初に風の情報が出されます。次に使用滑走路RWY28が示され、最後にテイクオフクリアランスが来ます。

注意点

逆に言えば風の情報なしでの離陸許可や使用滑走路無しでの離陸許可はありません。

また、クリアランスの情報の順番を入れ替えて出す事もありません。

例えば

JA-0000 cleared for take off Runway 07 wind 100 at 9

これらは別の指示との誤認を避けるために順番が守られて出されます。

着陸クリアランスは着陸許可に引き続いて風の方向を言います。Clearの語と風の情報を出す関係上、誤認を避けるため離陸許可では風の情報を先に言います。

もう一点の特徴としてTake offの語が使用されることがあげられます。take off の語は離陸許可と離陸許可の取り消しでのみ使われます。

参考として離陸前に出されるほかの指示も確認します。

参考 滑走路上で待機

滑走路に入った上で待機する時は下記の情報を含んだ指示が発出されます。

  • 滑走路番号
  • 待機の指示
  • その他の情報(交通情報)

表記の通りで、この場合は離陸許可と違い風の情報は言いません。

例) JA-0000 Runway 13 lineup and wait

参考 滑走路手前における待機

滑走路に進入する手前で待機する指示が出る事もあります。

この場合は以下の情報を出します。

  • 待機指示
  • 場所

例) JA-0000 hold short of runway 35

離陸許可の取り消し

一旦許可された離陸許可が取り消される場合は以下の通りとなります。

  • 代替指示
  • 着陸許可の取り消し
  • (可能なら理由を付す)

例) Hold short of runway 04 cancel takeoff clearance, due to traffic

ここでもtakeoff という語がでてきますね。

離陸に関係する管制間隔について

そもそも管制間隔って?

管制間隔とは航空機同士の安全を確保するために設定される距離の事です。

管制許可などはこの間隔に基づいて出されます。

今回は離陸にかかる管制間隔について確認します。

同一滑走路における離陸

離陸開始に必要な間隔は以下の通りとなります。

  • 先行離陸機が滑走路の末端を通過する
  • 先行離陸機が滑走路上空で変針し衝突の危険性がなくなったとき
  • 先行到着機が滑走路縁を離脱し、停止位置標識を離れたことを目視もしくは当該機からの通報により確認したとき
  • 滑走路を横断、地上走行している航空機が滑走路縁を離脱し停止位置標識を離れたことを目視もしくは通報により確認したとき

上記の通り、先行機が滑走路を出るまでは離陸できないことになります。

後方乱気流管制方式

上記の間隔のほかに後方乱気流管制方式というものがあります。

これは先行機による後方乱気流の影響を避けるために設定される間隔です。

以下の通りとなります

  • 先行機がヘビー機(A-380)の場合3分
  • 先行機がヘビー機(A-380以外)で後続機がヘビー機、ミディアム機、ライト機の場合2分
  • ミディアム機に続いてライト機が出発する場合2分

短縮間隔

上記の規定にかかわらず管制官が滑走路の距離を確認できる場合、同一滑走路を使用する離着陸機間に短縮された間隔を設定することができる。

出発機相互間においては以下の通り

  • カテゴリⅠ航空機間またはカテゴリⅡに続くカテゴリⅠが離陸する場合3000フィート
  • カテゴリⅡ相互間もしくはカテゴリⅠに続くカテゴリⅡ航空機が離陸する場合4500フィート
  • カテゴリⅢ相互間もしくはカテゴリⅢに続くカテゴリⅠもしくはⅡ間は6000フィート

ここで出てくるカテゴリとはISLの進入区分ではなく航空機カテゴリーを示します。

管制方式基準にはカテゴリは以下の通りとなっています。

カテゴリⅠ航空機 単発プロペラ機および全てのヘリコプター

カテゴリⅡ航空機 最大離陸重量が12500lbs(5.7トン)以下の双発プロペラ機

カテゴリⅢ航空機 カテゴリⅠ、Ⅱ以外のすべての航空機

まとめ

離陸に関する事項はおおむね上記の通りとなります。しかし航空に関する規則は常に更新されるものなので実際の運用にあたっては最新の規則を確認する必要があります。

離陸クリアランスについてはかならず風の情報が来てから許可が来るなど厳密に決められ、運用されています。

わからなくなったときは以下の書籍が参考になります。

参考文献

AIM-J 最新のものを使用して下さい

クリアランス等必要なものに関してはAIM-Jが解説しています。

管制方式基準

管制間隔等詳しく書かれているので確認した方がいいです。

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