パイロットの安全管理術に学ぶ ヒューマンファクター入門 

パイロットの安全管理術に学ぶ ヒューマンファクター入門 

2018年7月3日 0 投稿者: tosh1ak1
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航空業界におけるヒューマンファクターとは

小さなミスから大きな事故につながる事がある航空業界では様々な方面から安全性を高めるための努力をしています。

その中で、近年(といっても20年ほどですが)注目を集めているのがヒューマンファクターです。

航空機に限らないのですが、事故やインシデントの原因に「人間の失敗」というものがあります。

ヒューマンファクターとは、これらを科学的に分析し、対策を立てるための学問です。

近い分野としては

  • 心理学
  • 工学(人間工学)
  • 医学

などがあり、初期のヒューマンファクターはそれぞれ別の分野の出身者が進めてきていたようです。

ヒューマンファクターを理解するための概念としてはSHELLモデルがあります。

今回はパイロットであれば考慮しているこれらの概念を紹介します。

SHELLモデルとは??

ヒューマンファクターのモデルとされているSHELLモデルはかなり古くから提唱されていたようで、元は積木モデルでした。

おおむね上のような図が示されていると思います。

※カラスは隙間にいるだけなので概念図とは関係ありません

これらの積木があえて凸凹しているのは何かを動かす事でうまくハマったり不安定になるという事を示しています。

それではそれぞれが何を意味しているのか確認していきます。

S ソフトウェア

ソフトウェアとは、マニュアルやチェックリストなどの書き方や、非物理的な計器の表示などがあたります。

あまりにも複雑すぎる手順などもこのソフトウェアにあたると言えます。

また、マニュアル自体の記述に問題があったり、勘違いをしやすい表記などもソフトウェア面の問題と言えます。

H ハードウェア

これは機材のことです。飛行機そのものやコックピットのデザインなどがこれにあたります。

人間の直感に反するような動作をする機構や配置がおかしくて使いづらいものなどがこれにあたります。

最近では人間工学などによってエラーが起きづらいデザインが一般的になってきています。しかし未だに人間の適応力に依存した機械はたくさん残っています。

航空機においては上下がわかりづらい姿勢指示器で自分の姿勢がわからなくなり背面飛行になってしまうというものがあります。

座席が大きすぎて必要な計器に手がとどかないといったものもハードウェアにあたります。

車で例えると極端に読みづらいメーターやブレーキとアクセルを踏み間違えやすいほど近づけた構造など、ミスしやすい構造は色々思いつくと思います。

E Environment 環境

航空機の操縦においては騒音や低酸素、低気圧など様々な環境負荷がかかってきます。

現代の航空機はこうした環境要因を排除するために様々な機器を積んでいます。

エアコンやヘッドセットなど、人間が航空機を操縦するために必要な環境を作り出しています。

旅客機などでは防音や機内与圧を使って人間が生存できない高度を飛行したりしています。

L ライブウェア(当事者の人間)

中央のLは使用者、つまりパイロットを示しています。

中央にあるということで、これが最も重要な要素としてみなされています。

ヒューマンファクターと言うくらいですから人間が最も重要なのは想像がつくかと思います。

ここは主に以下のような事項が含まれています。

  • パイロットの体調
  • 身体的な能力や大きさ
  • 情報処理能力
  • その他の能力

人間である以上、どうしても能力やその他状況に差が出てきます。それらを考慮した安全策が必要になります。

航空機に乗らない人でも車を運転するとき、自分の体格より大きな外車や能力を超えたハイスペック車を運転しようとしたら身構えると思います。

そのような部分がこの「L」であると言えます。

L ライブウェア(当事者以外の人間)

航空機において、パイロットや乗務員、乗客など他の人間というものが存在しています。

現代ではパイロットと乗務員間のチームワークが機能しなくなる可能性を考慮したシステムによる安全確保が一般的となりました。